CRISPR-Cas3

「CRISPR-Cas3」とは

ゲノム編集技術とは

  1. 01 ゲノム編集技術の可能性
  2. 02 「CRISPR-Cas3」とは

Strengths of CRISPR-Cas3

CRISPR-Cas3の強み

CRISPR-Cas3技術は、真下知士博士(現 東京大学医科学研究所教授)らのチームによって見出された新しいゲノム編集技術です。
CRISPR-Cas3技術は、現在までにオフターゲット変異は認められておらず高い安全性が期待できることや、ターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができるといった特長を有し、現在世界中で研究が先行しているCRISPR-Cas9の複雑な特許状況に影響されない、これに対抗し得る有望なゲノム編集技術として注目を集めています。

①高い安全性

CRISPR-Cas3は、ガイドRNAにあたるcrRNAと5種類のタンパク質から構成されるCascadeが複合体を形成し、標的となるDNA配列を認識して結合します。そこへCas3タンパク質が結合することでDNAを切断します。crRNAは、27塩基の認識配列を持つため特異性が非常に高いことが特長です。(CRISPR-Cas9の場合、認識配列は20塩基のため、理論上Cas3はCas9よりも4の7乗倍特異性が高い、と言えます。)
このため、オフターゲット変異(狙った場所以外の変異)は現在までに認められておらず、高い安全性が期待できると言えます。

参考論文:Nat Commun. 2019 doi: 10.1038/s41467-019- 13226-x.

②大規模欠損による効率的な編集

広く使われているCRISPR-Cas9システムではハサミのように二本鎖DNAを同時に一か所で切断しますが、CRISPR-Cas3システムの切断の仕組みはこれとは異なることが見いだされています。Cascade複合体が標的部位を認識し、Cas3タンパク質が結合すると、その標的配列の二本鎖DNAをほどいて片方の鎖を手繰り寄せながら一本鎖DNAをそれぞれ別に切断します。このような仕組みにより、CRISPR-Cas3システムでは標的配列の上流側へ数百から数千塩基の大規模な編集を行うことが可能であり、たとえば標的遺伝子の発現を抑制するために広く編集が必要となる場合などに一つのCRISPR-Cas3システムで遺伝子編集が可能となります。

CRISPR-Cas3による二本鎖DNA切断の仕組み

Yoshimi,K.et al. :Nature Communications, 13:4917(2022)を参考

③Freedom-To-Operateを実現する知的財産権

様々な可能性を持ち、幅広い分野での活用が期待されるゲノム編集ですが、多くの産業分野で利用されるには、Freedom-To-Operate(FTO)が求められます。この点、CRISPR-Cas3システムは、独立の特許により保護されており、FTOを提供可能です。
C4Uは、Cas3基本特許である「DNAが編集された真核細胞を製造する方法、および当該方法に用いられるキット」について出願人である大阪大学より独占的に全世界での実施許諾権を受けております。当該特許はすでに日本のほか、米国・中国・欧州その他多くの国で特許登録されております。また関連する発明についても着実に知財化を進めています。

参考論文

  • Nat Commun. 2019 doi: 10.1038/s41467-019- 13226-x.
  • iScience 2022 doi: 10.1016/j.isci.2022.103830.
  • Nat Commun. 2022 doi: 10.1038/s41467-022-32618-0

共同研究先

CRISPR-Cas3の社会実装に向けて、多くの研究機関との共同研究を実施しています。

  • 東京大学医科学研究所

  • 大阪大学
    医学部附属実験施設

  • 理化学研究所
    放射光科学研究センター

  • 京都大学
    iPS研究所

  • 京都大学
    iPS細胞研究財団

  • 国立成育医療センター

  • 川崎医科大学

  • 広島大学

  • セレイド
    セラピューティクス